住環境の良し悪しを判断するための材料はたくさんありますが、その中でも重要な位置を占めるのが「快適さ」です。季節に応じて外部の環境はさまざまに変化し、時には不快な時期もありますが、そうした時にも室内が快適さを保っていれば、それは優れた住まいであると言えます。こうした考えに基づいて、住宅メーカーは快適な住環境を実現するための工夫を行っていますが、そこで重要なキーワードとなっているものの1つが「高気密高断熱」です。これは、外部の影響をできるだけ受けずに室内環境の快適さを維持することに着目したコンセプトです。
「高気密高断熱」という言葉は、「高気密」と「高断熱」という2つの住宅性能を表す言葉から成っています。このうち「高気密」とは、外部と室内との間で空気が行ったり来たりすることをできるだけ防ぐことです。そしてもう一方の「高断熱」とは、外部の温度変化が室内に与える影響をできるだけ小さくすることを意味します。つまり簡単に言えば、「高気密高断熱」とは家の外が暑くなったり寒くなったりしても、家の中を常に一定の温度に保つことによって快適さを維持するという意味になります。
このようなコンセプトに基づいて家づくりを行えば、外気温が大きく変化しても冷暖房機器の出力をそれほど大きく変える必要がなくなるため、省エネルギーに役立ちます。また、急激な温度変化が心臓などに悪影響を与える、いわゆるヒートショックの予防といった健康面への効果も期待できます。